デトロイトの整備 その8 「駆動系回路と配線を確認ブラシ清掃」

 前回は電装系のレストアを完了し、駆動系に移行することとしました。

その先駆けとして始動抵抗器の絶縁測定を実施しましたが今回から駆動系を根本から考えていきます!


駆動系機器
まずはスピードコントローラからモータまでの配線を確認していきましょう。確認したいのは、スピードコントローラ端子部からモータの第一巻線と第二巻線、そしてブラシの端子までの回路です。

というのも、このモータは少々不思議な作りをしていて、界磁巻線と呼ばれるコイルが大体一つついているのがセオリーな中、2つついているという設計です。これは、細かいスピード制御を行う為に設計されたのだと思われます。

また界磁巻線というのは、フレミングの法則を考えるとわかりやすいのですが、磁石のちからで回るモータのうち、磁石の役割を果たすものをいいます。
そしてブラシというのは、モーター内部のくるくる回る軸の部分に電気を供給する役割を持った機器のことをいいます。

スピードコントローラとは何かを説明します。昔、理科の実験で電池2つを並列につなぐか直列につなぐかで光る電球の光の強さが変わるというのをやったと思います。その回路の組み換えを物理的に行っている機械です。


{スピードコントローラ}


{見えにくいが、中央の円筒形のものがモータ}


スピードコントローラのナンバリング

以下の回路図がスピードコントローラからモータまでの配線図です。この配線図を参考に、導通試験を行っていきます。今後、スピードコントローラを番号で扱いやすくするため、ここでナンバリングを実施します。

ナンバリング後のスピードコントローラは以下の図のようになります。

ダイアグラム, 概略図

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スピードコントローラ端子

では実際に作業に取り掛かっていきます。

まず、スピードコントローラの端子をナンバリングをメモしつつ丁寧に取り外していきます。

ケーブル端子にはネジのスジボリがされており、マイナスネジで固定されているだけのため、ネジを外して端子を下から引っ張れば簡単に取り外すことが出来ます。しかし劣化のためか、渋くて取り外すのには結構苦労しました…

また、スピードコントローラを上から見た際、端子を留めているマイナスネジの少し上にもマイナスネジがありますが、これを取ると、スピードコントローラの台座から鍵盤のような接触端子部(以降鍵盤という)が取り外せます。

素材としては鍵盤を真横から見た際、一番上の端子接触部に銅板、ベース台の固定とケーブル端子との接触のための真鍮板のニ層構造になっていると思われます。図に表すと以下の図のようになります。

また、ケーブルを交換するにしても、位置的に厳しく、一旦客室を外してシャーシだけの状態からケーブル交換という手順になりそうなのでその点も考慮していかなければならないかも知れません。


{スピードコントローラを横から見た写真(ケーブル外れかけてる)}


{銅の鍵盤を取り外し真鍮部が露出する上からみた写真}


モータ側のケーブル端子

次にモータ側のケーブル端子を取り外したいのですがこれがとても難しいことだと痛感しました…

モータへ入るケーブルはモータに対し垂直に入っていってるようで、床板とモータの間に刺さっています。そこで前方の床板を外そうと奮闘しましたが、座席の固定具が邪魔で外れそうにありません…端子についてもモータ内部で端子としてではなく導線を其々に分配する形で直付けしている設計のため、リケーブルは絶望的かなと判断せざるを得ませんでした…

というのも、昔の車、特にT型が有名かもしれませんが、車を大量生産できるようになった時代、車は台座にパーツを乗せてエンジンを乗せて最後に客室を乗せるという設計でした。そのためか、このデトロイトに関しても、一旦客室を取り外さなければ整備が出来ない設計なのかも…

また、なんとか客室を外そうと奮闘しているときに、当時の内装と思しきものが発見できたのは少し嬉しかったです。

人, 屋外, 座る, テーブル が含まれている画像

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{床下を通るケーブル}


{床下でモータへ入るケーブル}


{当時のものと思しき内装材}


モータ内部

モータの端子模索中、一部の外板が外れることを発見しました!

外板はネジ2本で留まっており、開けると、ブラシという機器にアクセスできます。ブラシは消耗品ですので開けられる構造にしたのではないかと思われます。

ライトを当てつつよく見てみると、一つのユニットに黒鉛出できているブラシが2つずつついておりmそのユニットが対角線になるようにくっついています。

このブラシにも導線がつながっており、この線を辿ればスピードコントローラにつながるものと考えられます。

ブラシは、真ん中の銅色をした回転する物体(以降回転子という)に黒鉛部分をこすりつけながら回転子に電気を供給する役割を持っています。

なのでいつか消耗すれば交換する必要が出てきますね…

モータを正面からみて、以下の図のように黒鉛ブラシが取り付けられています。


モータとスピードコントローラの端子、ケーブル対応

モータ内部の黒鉛ブラシへつながるケーブル端子が取り外せそうであるため、第一巻線、第ニ巻線、回転子、始動抵抗器がスピードコントローラの端子番号何番に接続されているかを明らかにしていきます。一つ一つテスターを当てていきます。

結果は、下の図のようになっていました。

一部設計図どおりではなく入れ替わっている箇所もありましたが、支障の出そうなものではありませんでした。

また、回転子の抵抗値についてはブラシの接触が悪く高い値が出てしまいました。これは今後精査する必要がありそうですね。

そこで、一旦ブラシをすべて取り外し、研磨下うえで再度取付け、回転子に関してはサンドペーパーや研磨剤などを使い黒鉛を取り除き、できる限り抵抗値が小さくなるようにしていきます。


{スピードコントローラの番号と抵抗値}


{抵抗値を測定している様子}



ブラシの検討

黒鉛ブラシは回転子に対して2つずつ一つのペアで合計2x4で8つついていました。一つのペアが左右それぞれ均等に傾斜していることから、均等に回転子に当たっていたことが伺えます。

黒鉛部分をある程度研磨し、ブラシ自体の抵抗値を計測すると0.3[Ω]と抵抗値が下がりました。やはり前述した様に高い抵抗値は接触抵抗である可能性が高くなってきました。

黒鉛ブラシの構造は、銅製の本体に接触するところに黒鉛がつかわれているというもので、かなり消費が激しそうなので交換する事があるかも知れません。

しかしブラシを固定する金具には大きさを調整できる機能もあるっぽいので、交換は出来そうです。

{取り外したブラシ(正面)}


{取り外したブラシ(側面)}


{大きさ調整出来そうなブラシ固定金具}


回転子について

回転子に対してちょうどブラシが当たる位置に筋のような模様が出来ています。これは削れた黒鉛が引き伸ばされて出来たものだと思われます。

比較的変色なく素人目ではきれいに見える回転子ですが、粉末の影響が抵抗値として現れている可能性も否定できないため、回転子も磨いていきたいところ。

方法としては手の届く所を磨き、また後輪を少し回転させてまた磨いてを繰り返して行こうと考えているところです。

{回転子}


総括

スピードコントローラの端子を取り外してモータの第一、第二巻線、ブラシ、始動抵抗器とどの端子につながっているかを明らかに出来たので良かったです。

また多少ではありますが、黒鉛ブラシの研磨と状態確認を実施でき、回転子の状態も確認できました。モータ内部の状態を確認できたのは大きく、今後のレストア作業に役立ちそうです。


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